「肘が痛くて曲げ伸ばしが辛い」「肘の腫れや熱感がある」「肘の痛みがなかなか治らない」といった症状でお悩みではありませんか?それは、肘関節炎かもしれません。肘関節炎は、様々な原因で肘関節に炎症が起こる疾患の総称です。この記事では、肘関節炎の種類、原因、症状、診断、治療、そして予防法まで詳しく解説します。
肘関節とは?
肘関節は、上腕骨、橈骨、尺骨という3つの骨で構成されており、曲げ伸ばし(屈伸)、回内外(手のひらを上や下に向ける動作)といった複雑な動きを可能にしています。
肘関節炎とは?
肘関節炎は、この肘関節に炎症が起こった状態を指します。炎症の原因によって、いくつかの種類に分類されます。
肘関節炎の種類
主な肘関節炎の種類は以下のとおりです。
- 変形性肘関節症: 加齢や使いすぎによって関節軟骨がすり減り、骨の変形(骨棘形成)などが起こる疾患です。
- 関節リウマチ: 免疫の異常によって関節に炎症が起こる疾患で、肘関節も影響を受けることがあります。
- 化膿性関節炎: 細菌感染によって関節に炎症が起こる疾患です。
- 外傷性関節炎: 骨折や脱臼などの外傷後に起こる関節炎です。
- 痛風性関節炎: 尿酸値が高い状態が続くことで、関節に尿酸の結晶が沈着して炎症を起こす疾患です。
肘関節炎の原因
肘関節炎の原因は、種類によって異なります。
- 変形性肘関節症: 加齢、肘の酷使(スポーツ、重労働など)、過去の骨折や脱臼などが原因となります。
- 関節リウマチ: 自己免疫疾患であり、原因は明確には解明されていません。
- 化膿性関節炎: 細菌(黄色ブドウ球菌など)の感染が原因となります。
- 外傷性関節炎: 肘関節の骨折、脱臼、捻挫などが原因となります。
- 痛風性関節炎: 高尿酸血症が原因となります。
肘関節炎の症状
肘関節炎の一般的な症状は、以下のとおりです。種類によって症状の出方に違いがあります。
- 肘の痛み:安静時痛、運動時痛、夜間痛など、様々な痛み方があります。
- 肘の腫れ:関節液の貯留や炎症によって肘が腫れます。
- 熱感:患部が熱を持つことがあります。
- 可動域制限:肘の曲げ伸ばしが制限されることがあります。
- ロッキング:肘の関節が急に動かなくなる状態(特に変形性肘関節症で見られる)
- しびれ:肘の内側を通る尺骨神経が圧迫されることで、薬指や小指にしびれを感じることがあります(特に変形性肘関節症で肘部管症候群を合併している場合)。
肘関節炎の診断
肘関節炎の診断は、医師による問診、身体診察、画像検査、血液検査などによって行われます。
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問診:症状、発症時期、既往歴、生活習慣などを詳しく聞かれます。
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身体診察:肘の状態(腫れ、熱感、圧痛、可動域など)を確認します。
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画像検査:
- レントゲン:骨の状態(変形、骨棘など)を確認します。
- CT:骨の状態をより詳しく確認します。
- MRI:関節軟骨、靭帯、滑膜などの状態を確認します。
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血液検査:炎症反応やリウマチ因子、尿酸値などを確認します。
肘関節炎の治療
肘関節炎の治療は、原因や症状の程度によって異なります。
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保存療法:
- 安静:患部を安静に保ち、炎症を抑えます。
- アイシング:患部を冷やすことで、炎症や痛みを緩和します。
- 薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、湿布、塗り薬、内服薬(鎮痛剤、ステロイドなど)などが使用されることがあります。
- 装具療法:サポーターや装具を使用することで、肘関節を固定し、負担を軽減します。
- リハビリテーション:肘の可動域を改善し、筋力を回復させるための運動療法を行います。
- 関節内注射:ヒアルロン酸注射やステロイド注射などが行われることがあります。
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手術療法:
- 保存療法で改善が見られない場合や、症状が重い場合、関節の変形が著しい場合などに手術療法が検討されます。手術方法には、関節鏡視下手術、関節切開手術、人工関節置換術などがあります。
肘関節炎のリハビリテーション
リハビリテーションは、肘関節炎の治療において重要な役割を果たします。痛みがある程度落ち着いてきたら、理学療法士などの専門家の指導のもと、適切なリハビリテーションを行うことで、早期回復と再発予防につながります。
リハビリテーションの内容は、個々の状態に合わせて作成されますが、一般的には以下のような内容が含まれます。
- ストレッチ:肘関節周囲の筋肉や靭帯の柔軟性を改善するためのストレッチを行います。
- 筋力トレーニング:肘関節周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を高めます。
- 日常生活動作指導:肘に負担のかからない動作方法などを指導します。
肘関節炎の予防
肘関節炎を予防するためには、以下のことに注意しましょう。
- 肘の酷使を避ける:長時間の作業やスポーツなどで肘に過度な負担をかけないようにしましょう。
- 適切な準備運動とクールダウン:運動前にはしっかりと準備運動を行い、運動後にはクールダウンを行うことで、筋肉や関節への負担を軽減します。
- 正しい姿勢を保つ:不良姿勢は肘関節への負担を増加させるため、正しい姿勢を保つように心がけましょう。
- 適度な運動:適度な運動は関節の健康維持に役立ちます。
- 体重管理:肥満は関節への負担を増加させるため、適切な体重を維持するように心がけましょう。
医療機関への受診について
肘の痛みや腫れ、可動域制限などの症状が続く場合は、整形外科を受診することをおすすめします。早期の診断と適切な治療が、早期回復につながります。
注意事項
- この記事で紹介した情報は、あくまで一般的な情報であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
- 症状が改善しない場合は、自己判断で対処せず、必ず医師に相談してください。
- 当サイトは医療情報を提供することを目的としていますが、診断や治療を行うものではありません。
- 市販薬を使用する場合は、添付文書をよく読んでから使用してください。
まとめ
肘関節炎は、様々な原因で起こる疾患であり、適切な治療と予防を行うことで、症状の改善や進行抑制が期待できます。肘の痛みでお悩みの方は、早めに医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。日常生活でも、肘に負担のかからないように意識することが大切です。