手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome, CTS)は、手のひら側の神経である正中神経が圧迫されることによって引き起こされる症候群で、手のしびれや痛み、さらには筋力低下などを引き起こします。特にデスクワークや長時間のパソコン作業を行う方々に多く見られる疾患です。本記事では、手根管症候群の症状、原因、診断方法、治療法について、最新の医学的根拠を基に解説していきます。また、適切な予防方法についても触れ、さらに有用な情報を提供します。
手根管症候群は、手のひら側の正中神経が手首の手根管と呼ばれる狭い部分を通過する際に圧迫されることで、神経障害が引き起こされる疾患です。正中神経は、手のひら側にある親指から薬指までの感覚を支配しており、そのため、手根管症候群の症状は手のひらや指に関連したものが多く見られます。
正中神経は、手のひらの感覚を司るだけでなく、手のひらの筋肉にも関与しています。正中神経が圧迫されると、その感覚や運動機能に障害が生じます。圧迫が長期間続くと、神経がダメージを受け、回復が困難になることもあります。
手根管は、手首の部分に存在するトンネルのような構造で、ここを正中神経を含む腱や血管が通過しています。手根管が圧迫されると、正中神経が十分に機能しなくなり、痛みやしびれ、筋力低下を引き起こします。
手根管症候群の原因はさまざまであり、主に以下の要因が考えられます。
最も一般的な原因は、長時間の手首の使用による圧迫です。特にパソコン作業やタイピング、細かい手作業を頻繁に行うことがリスクを高めます。これにより手根管内の腱が腫れ、正中神経を圧迫します。
手首を強くひねったり、衝撃を受けたりすることも手根管症候群を引き起こすことがあります。事故や怪我が手根管内の腱や組織に影響を与え、神経の圧迫を引き起こす可能性があります。
妊娠中に体液が増えることにより、手根管に圧力がかかり、手根管症候群が発生することがあります。ホルモンの変化も影響を与え、妊娠中の女性に多く見られます。
糖尿病や肥満などの慢性疾患も手根管症候群のリスクを高める要因とされています。糖尿病は神経に影響を及ぼし、肥満は手根管に圧力をかける可能性があります。
家族に手根管症候群を持つ人がいる場合、遺伝的な要因が関与している可能性もあります。手根管の解剖学的構造が影響する場合があります。
手根管症候群の症状は、正中神経が圧迫されることによって発生します。主な症状は以下の通りです。
手根管症候群の最も典型的な症状は、親指、人差し指、中指、時には薬指にかけてのしびれです。特に夜間に症状が悪化し、寝ている間に手や指がしびれることがあります。
手首や前腕に痛みが生じることもあります。この痛みは、手首を動かしたり、重いものを持ったりすることで悪化します。特に長時間の手作業やタイピング後に痛みが強くなることがあります。
手根管症候群が進行すると、正中神経が支配する筋肉の機能が低下し、手の握力が弱くなります。物を持つことが難しくなることもあります。
手根管症候群が進行すると、日常生活にも影響を及ぼします。物を持つ、書く、タイピングをするなど、手を使う動作に支障をきたすことがあります。
手根管症候群は、症状と身体検査をもとに診断されます。医師は、手首を圧迫した際にしびれや痛みが引き起こされるかどうかを確認します。
X線やMRIなどの画像診断が行われることもありますが、手根管症候群の診断には必ずしも必要ではありません。しかし、他の原因(例えば骨折や腫瘍)がないことを確認するために用いられます。
手根管症候群の治療法は、症状の重症度や原因によって異なります。治療には保存療法と手術療法があり、それぞれのアプローチについて説明します。
手根管症候群の予防には、以下の点に注意することが重要です。
手根管症候群は、日常生活に大きな影響を与える疾患ですが、早期に発見し、適切な治療を受けることで改善が期待できます。パソコン作業や細かい作業が多い方は、定期的に手首の状態をチェックし、予防策を講じることが大切です。症状が出た場合には、自己診断せず、専門の医師に相談することをおすすめします。
2025/03/05