上腕骨外側上顆炎、通称「テニス肘」は、肘の外側に痛みを引き起こす疾患で、特に手を使うスポーツや仕事に従事している人々に多く見られます。名前に「テニス」が含まれていますが、実際にはテニス以外の活動でも発症することがあり、一般的な運動や日常的な作業にも関わってきます。本記事では、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の原因、症状、診断方法、治療法について、最新の医学的根拠を元に解説します。また、予防法やリハビリテーションの方法についても触れ、改善に向けた知識を提供します。
上腕骨外側上顆炎は、肘の外側にある上腕骨の突起部(外側上顆)に付着する腱が繰り返しのストレスにより炎症を起こす疾患です。この炎症が原因で痛みや動きの制限が生じ、特に肘を伸ばしたり、手首を反らしたりする動作に支障が出ます。
上腕骨外側上顆は、腕の筋肉(前腕の伸筋群)が付着する部位です。これらの筋肉は手首を反らす動作に関与しており、スポーツや日常生活で手首を使う動作が多いと、外側上顆に負担がかかりやすくなります。
この疾患は、特にテニス選手に多く見られることから「テニス肘」とも呼ばれています。しかし、テニス以外にも、例えば重い物を持ち上げる仕事やパソコンを長時間使う作業でも発症することがあります。したがって、テニス肘はスポーツに限らず、様々な状況で発生する可能性があります。
上腕骨外側上顆炎は、前腕の筋肉に過度な負担がかかることによって発症します。この負担が繰り返し続くことで、筋腱が炎症を起こし、痛みを引き起こします。以下のような要因が考えられます。
テニスやゴルフなど、手首を反らす動作を繰り返すことが原因で上腕骨外側上顆炎が発生することが多いです。特にラケットスポーツでは、スイングの際に前腕の筋肉に強い負担がかかります。
重い物を持ち上げる作業や、長時間のパソコン操作など、手首を使う動作が繰り返されると、筋肉にストレスがかかり、炎症を引き起こします。デスクワークの人々にも見られることがあるため、現代の職場でも注意が必要です。
加齢に伴い、筋肉や腱が弱くなり、使い過ぎによるダメージを受けやすくなります。特に40歳以上の中高年層では、この疾患が多く見られる傾向があります。
スポーツや作業において不適切なフォームや使い方をすると、過剰な負担がかかり、腱に炎症が起きやすくなります。例えば、テニスのスイングフォームやゴルフのスイング時に不自然な力がかかることが原因となります。
上腕骨外側上顆炎の主な症状は、肘の外側に痛みを感じることです。この痛みは、前腕の筋肉を使う動作で悪化し、特に手首を反らす動作で顕著に現れます。
痛みは肘の外側、つまり上腕骨外側上顆付近に感じます。特に物を持ち上げたり、手首を反らす動作をしたときに痛みが強くなることがあります。
痛みが強くなると、肘を曲げたり伸ばしたりする動作に制限がかかり、日常生活で不便を感じることがあります。例えば、物を持ち上げる、手を握る、スイングするなどの動作が難しくなることがあります。
上腕骨外側上顆炎では、肘だけでなく、手首や前腕にも痛みが広がることがあります。特に、手首を反らす動作で痛みが増します。
上腕骨外側上顆炎の診断は、まずは臨床症状や患者の既往歴をもとに行われます。医師は、患者の肘や前腕を触診し、特に肘の外側に圧痛があるかを確認します。
視診では、肘周辺に腫れや変形がないか確認します。触診では、上腕骨外側上顆に痛みがあるか、前腕の筋肉に圧痛がないかを調べます。
X線検査やMRI検査を行い、他の疾患(例えば関節炎や骨折)が原因ではないかを確認することもあります。MRIでは、腱の炎症や損傷が確認できることがありますが、必ずしも必要ではありません。
上腕骨外側上顆炎の治療は、まずは保存的な方法から始め、症状が改善しない場合には手術が検討されます。
理学療法では、ストレッチや筋力トレーニング、マッサージが行われます。特に前腕の筋肉を強化し、柔軟性を高めることが治療に有効です。
保存療法が効果がない場合や症状が重度の場合、手術が検討されます。手術は、腱の損傷部分を切除したり、炎症を抑えるために手術を行ったりする方法があります。
上腕骨外側上顆炎の予防には、過度な負担を避けることが最も重要です。以下の予防策を実践することが推奨されます。
スポーツや作業を行う際は、適切なフォームで行うことが大切です。特にテニスやゴルフなどのラケットスポーツでは、フォームが不適切だと肩や肘に過度な負担がかかりやすいです。
長時間同じ動作を繰り返す場合、定期的に休憩を取り、筋肉をリラックスさせることが重要です。
前腕や肘周辺の筋肉を強化し、柔軟性を保つことが予防につながります。特に前腕の筋力を鍛えることで、過剰な負担を軽減できます。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は、手を使う動作が多い人々にとって、非常に身近な疾患です。痛みや制限が日常生活に大きな影響を与えるため、早期に診断し、適切な治療を行うことが重要です。治療は、保存療法から始め、必要に応じて注射や手術が検討されます。予防策としては、適切なフォームや休養、筋力トレーニングが有効です。
2025/03/07