有痛性三角骨(ゆうつうせいさんかくこつ)とは、足首の後方に存在する余分な小さな骨(三角骨)が原因で痛みや不快感が生じる症状を指します。特にスポーツ選手やバレエダンサーに多く見られ、つま先立ちやジャンプの動作で痛みが顕著になります。
三角骨は、成長過程で距骨の後方に生じる過剰骨であり、すべての人に存在するわけではありません。三角骨があっても必ずしも痛みが出るわけではなく、次のような要因が関与することで症状が発現することがあります。
足首の過度な動き:バレエやサッカーなど、足首を頻繁に伸ばす動作が多いスポーツでは三角骨が刺激されやすくなります。
外傷や捻挫:足首を強くひねることで三角骨が炎症を起こすことがあります。
関節の不安定性:足首の靭帯が緩いと、三角骨が挟み込まれやすくなり、痛みが生じることがあります。
足首後方の痛み
つま先立ちやジャンプ時の強い痛み
腫れや圧痛
足首の可動域制限
問診と触診:痛みの部位や状況を確認します。
X線検査:三角骨の存在や位置を確認できます。
MRI検査:軟部組織の損傷や炎症の有無を詳しく調べることができます。
保存療法
安静:負担のかかる動作を避けることで炎症を抑えます。
アイシング:炎症や痛みを軽減します。
湿布や消炎鎮痛薬:一時的に症状を和らげる効果があります。
装具療法:足首のサポーターやテーピングで関節の安定性を保ちます。
リハビリテーション
ストレッチ:ふくらはぎや足首の柔軟性を高め、負担を軽減します。
筋力トレーニング:足首周囲の筋力を強化し、三角骨へのストレスを軽減します。
手術療法 保存療法で改善が見られない場合、三角骨の摘出手術が検討されることがあります。手術後は適切なリハビリが重要です。
**Koulouris et al. (2003)**は、MRI画像診断が有痛性三角骨症候群の診断に有効であり、特にスポーツ選手の早期発見に役立つと報告しています。
**Hossain et al. (2010)**の研究では、保存療法に反応しない患者に対して関節鏡手術が有効であり、術後の早期回復が期待できると示唆されています。
無理な動作を避ける:痛みが出る動作は控え、特に激しい運動は一時的に休止することが重要です。
足首のストレッチと強化:ふくらはぎのストレッチや足首の筋力トレーニングを行うことで、症状の予防や再発防止に役立ちます。
適切なシューズの選択:足首を安定させるサポート力のある靴を選ぶことで、症状の悪化を防げます。
有痛性三角骨は、特にスポーツやダンスをする方にとって身近なトラブルです。早期の発見と適切な治療を行うことで、痛みの軽減や再発防止が可能です。気になる症状がある場合は、専門の医療機関への相談をおすすめします。
2025/03/17