「未病」とは、病気と健康の中間にある状態を指し、東洋医学では重要な概念として古くから活用されてきました。一方、西洋医学においても近年「プレクリニカル」や「サブクリニカル」といった未病に近い概念が注目されています。本記事では、西洋医学と東洋医学の未病に対する考え方やアプローチの違いを解説し、科学的根拠を交えつつ理解を深めていきます。
未病とは「健康ではないが、病気と診断されるほどではない状態」を指します。具体的には、
身体のだるさや疲労感
頭痛や肩こり
睡眠の質の低下
消化不良や食欲不振
などが挙げられます。未病の段階で適切なケアを行うことで、病気への進行を防ぐことができるとされています。
東洋医学では、「気・血・水」のバランスが崩れることで未病が引き起こされると考えます。これに基づき、
「気」:エネルギーの流れの乱れ
「血」:血流の滞り
「水」:体液の不調
これらの不調が未病のサインとされます。治療では、漢方薬、鍼灸、整体、養生法などを用いて調整を行います。
ある研究では、漢方薬の服用により未病状態の改善が確認された事例があります(Zhou et al., 2020)。
鍼灸治療においても、自律神経機能の改善や血流促進効果が報告されています(Kim et al., 2019)。
西洋医学では、「プレクリニカル(前臨床)」「サブクリニカル(潜在性)」といった未病に相当する概念があります。例えば、
プレ糖尿病:血糖値が正常範囲を超え始めた状態
高血圧予備軍:血圧が140/90mmHgに近づきつつあるが基準は満たさない状態
脂質異常症の予備軍
アメリカ糖尿病学会(ADA)の報告では、プレ糖尿病患者が食事管理や運動療法を実践することで糖尿病発症リスクが58%低減するとされています(Knowler et al., 2002)。
高血圧予備軍に対する運動療法の有効性も広く認められています(Whelton et al., 2018)。
特徴 | 東洋医学 | 西洋医学 |
---|---|---|
アプローチ | 気・血・水のバランスを整える | 数値的な指標に基づく診断と治療 |
治療方法 | 漢方薬、鍼灸、整体、食養生など | 薬物療法、運動療法、生活習慣の改善 |
重視する点 | 体全体のバランスや体質の調整 | 特定の臓器や数値の管理 |
東洋医学では「温性」「寒性」など食材の特性を活用した食事が推奨されます。
西洋医学では、バランスの取れた栄養摂取と適度なカロリー制限が重要とされます。
ストレッチやヨガは、東洋医学の「気」の流れを整える手段として推奨されます。
有酸素運動やレジスタンストレーニングは、西洋医学の観点から心血管系や代謝の向上に効果的とされています。
東洋医学では「気の滞り」としてストレスを重視し、呼吸法や瞑想が勧められます。
西洋医学では、認知行動療法(CBT)やマインドフルネスが有効とされています。
未病は、東洋医学と西洋医学の両方で重要視される概念であり、予防医学の観点から積極的にケアすることが推奨されています。現代社会では、東洋医学の「体質調整」と西洋医学の「数値管理」を組み合わせることで、より効果的な健康維持が可能です。
健康診断や体調の変化を見逃さず、未病のサインに気づいたら、早めに専門家のアドバイスを受けることが重要です。
2025/03/18