お子さんの首が常に傾いていたり、左右どちらかしか向けなかったりする場合、「斜頚(しゃけい)」の可能性があります。
斜頚は、早期発見・早期治療が重要な病気です。
この記事では、斜頚の原因、症状、治療法、そして日常生活での注意点などを詳しく解説します。
1. 斜頚とは?
斜頚とは、首が左右どちらかに傾いた状態、または首を回旋させた状態を指します。
生まれつきの「先天性斜頚」と、成長過程で起こる「後天性斜頚」に大きく分けられます。
2. 斜頚の種類と原因
斜頚は、原因によっていくつかの種類に分けられます。
- 先天性筋性斜頚:
- 最も一般的な斜頚で、出生時に首の筋肉(胸鎖乳突筋)が損傷したり、子宮内での胎位の影響で筋肉が拘縮したりすることが原因と考えられています。
- 出生後数週間以内に、首の筋肉にしこりが触れることがあります。
- 先天性骨性斜頚:
- 生まれつき首の骨(頸椎)に異常があることが原因です。
- Klippel-Feil症候群などが代表的な疾患です。
- 後天性斜頚:
- 外傷、炎症、腫瘍、神経疾患、眼科疾患など、様々な原因で起こります。
- 炎症性斜頚は、風邪や中耳炎などの後に起こることがあります。
- 眼性斜頚は、眼の筋肉の異常でおこることがあります。
3. 斜頚の症状
斜頚の主な症状は、以下の通りです。
- 首が左右どちらかに傾いている
- 首を回旋させた状態になっている
- 首の動きが制限される
- 首の痛み
- 顔の左右非対称
- 乳児の場合、向き癖が見られる。
4. 斜頚の検査・診断
斜頚の検査・診断は、以下の方法で行われます。
- 問診: 出生時の状況や発症時期、症状などを確認します。
- 視診・触診: 首の傾きや動き、筋肉の状態などを確認します。
- レントゲン検査: 頸椎の骨の状態を確認します。
- CT検査・MRI検査: より詳細な画像診断が必要な場合に行います。
- 超音波検査: 筋肉の状態を確認します。
- 眼科検査: 眼性斜頚が疑われる場合に行います。
5. 斜頚の治療法
斜頚の治療法は、原因や症状によって異なります。
- 保存療法:
- ストレッチやマッサージなどの理学療法を行います。
- 装具療法(頸椎カラーなど)を行うことがあります。
- 手術療法:
- 保存療法で改善が見られない場合や、骨の異常がある場合に行います。
- 胸鎖乳突筋の切離術や、頸椎の手術などがあります。
- 原因疾患の治療:
- 炎症や腫瘍などが原因の場合は、原因疾患の治療を優先します。
6. 斜頚の予防と早期発見の重要性
斜頚の予防は難しいですが、早期発見・早期治療によって、症状の悪化を防ぎ、後遺症のリスクを減らすことができます。
- 乳児期の観察: 乳児期は、首の傾きや向き癖がないか、注意深く観察しましょう。
- 定期的な検診: 乳幼児健診などを活用し、早期発見に努めましょう。
- 適切なケア: 乳児期の授乳や抱っこの際、首に負担がかからないように注意しましょう。
7. 斜頚と日常生活
斜頚があっても、日常生活を送る上で注意すべき点はいくつかあります。
- 姿勢: 日常生活において、正しい姿勢を意識しましょう。
- 運動: 症状に合わせた適切な運動を行い、首周りの筋肉を柔軟に保ちましょう。
- 定期的な受診: 定期的に医師の診察を受け、症状の経過を確認しましょう。
8. 斜頚に関する最新の研究
斜頚に関する研究は、現在も世界中で進められています。
- 遺伝子研究: 先天性斜頚の発症に関わる遺伝子の特定が進んでいます。
- 画像診断技術の進歩: より詳細な画像診断が可能になり、早期発見・早期治療に役立つことが期待されています。
- 新しい治療法の開発: 手術療法の低侵襲化や、再生医療などの新しい治療法の開発が進められています。
9. まとめ
斜頚は、早期発見・早期治療によって、症状の改善や後遺症の予防が期待できる病気です。
もし、お子さんの首の傾きや動きで気になることがあれば、早めに専門の医師に相談することをおすすめします。
免責事項
このブログ記事は、一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスを提供するものではありません。
斜頚に関する具体的な治療法やアドバイスについては、必ず専門の医師にご相談ください。