整体に初めて来られる方の多くがこう言います。
「骨をボキボキ鳴らすんですか?」
「マッサージとの違いがわかりません」
「この痛みって治るんでしょうか?」
このような疑問に、法律の世界で使われる**「IRAC(アイラック)」**という考え方を使って、整体の施術や考え方を整理してみましょう。
実はこのIRAC、法律の世界だけでなく、「体の不調の原因を特定し、施術の方針を決め、改善へと導く」整体の世界とも非常に相性が良いのです。
IRACは法律の問題を論理的に分析するためのフレームワークです。
I:Issue(問題点の特定)
R:Rule(適用するルールや原則)
A:Application(問題への具体的な当てはめ)
C:Conclusion(結論)
この構造は、問題の「本質」を捉え、「筋道立てて解決」していくための優れた方法です。
それでは、整体での体の痛みにこのIRACを応用すると、どのように施術が行われるのかを見ていきましょう。
法律では「この事件の争点は何か?」を問います。
整体では、「この痛みの原因はどこか?」を問います。
たとえば…
「バレーボールでスパイクを打つと肘が痛い」
「長時間のデスクワークで首がこる」
「朝起きると腰が固まっていて動けない」
この“訴え”の裏にある**本当の原因=問題点(Issue)**を明確にすることが、整体における最初のステップです。
ここで必要なのは問診・触診・動作確認です。
【例】
肘の内側が痛い → 手首の使いすぎ、前腕の筋肉の過緊張、姿勢の崩れなど複合要因が考えられる
法律では「この問題にはどの法律が適用されるか?」が問われます。
整体では「この痛みにはどんな筋肉・関節・神経の関係性が関わっているか?」が問われます。
これは解剖学・運動学・筋膜の知識に該当します。たとえば、肘の痛みには以下のような法則が適用されます:
筋膜はつながっている(Langevin et al., 2002)
肘の痛みの多くは手首や肩の動きとも関連している
慢性痛は局所の炎症だけでなく、神経系の過敏も関与することがある(Butler & Moseley, 2013)
つまり、症状が出ている場所と、原因のある場所が一致しないことが多いのです。
法律では「ルールを事案にどう当てはめるか」が核心です。
整体では「体の状態にルール(知識)をどう適用するか」です。
【例】
肘が痛い → 問診で「手首の酷使」を確認
触診で「尺側手根屈筋」が硬くなっている
肩甲骨の動きも悪い → 動作連鎖が崩れていると判断
このように、体の状態に「解剖学的・運動学的ルール」を適用することで、施術の方向性が定まります。
筋膜リリースを使って筋肉の緊張をゆるめる
肘だけでなく肩甲骨の動きも改善する
セルフケアを通じて日常動作のクセを修正する
法律では「判決」、整体では「施術の方向性・改善計画」が結論となります。
【例】
結論:肘の痛みは手首〜前腕〜肩の連動性の崩れが原因と判断
→ 前腕屈筋群のリリース
→ 肩甲骨の可動域改善
→ スポーツフォームのアドバイス
→ セルフストレッチの指導
このように、IRAC的に整理することで、なぜこの施術を行うのか、なぜそこにアプローチするのかが明確になります。
✅ 整体師の施術が「なんとなく」でなくなる
✅ 利用者にも「納得感」が生まれる
✅ 原因がわかるから、再発防止もしやすい
✅ 施術方針の説明が明快になり、信頼が深まる
整体というと、どうしても「なんとなく気持ちいい」「リラックスする」というイメージが先行しがちですが、本来はとても論理的で根拠に基づいたアプローチです。
法律の世界で用いられるIRACという思考法は、実は私たちの体の状態を理解し、適切な対応を考える上でとても有効なヒントをくれます。
「この痛みの本当の原因はどこか?」
「どうすれば改善するのか?」
それを一緒に考えてくれる整体院が、あなたの身近にあるかもしれません。
そしてその判断も、IRACのように順序立てて考えることで明確になります。
体も法律も、問題解決には「筋道」が必要です。
あなたの不調にも、答えはきっとあります。
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、特定の医療行為・治療法・効果を保証するものではありません。症状のある方は必ず医療機関での診断を受けてください。
2025/07/10