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お尻の奥がズーンと痛い?坐骨と筋肉の意外な関係

「座っているとお尻の奥がズーンと重い…」
「長時間のデスクワークでお尻が痛くなる」
「お尻の奥から太ももにかけて鈍い痛みが広がる」

こうした症状に悩んだことはありませんか?
一見「ただの座り疲れ」と思われがちですが、実は坐骨と周囲の筋肉の関係が深く関わっていることがあります。

今回は、医学的な研究も踏まえながら、一般の方向けにわかりやすく解説していきます。


坐骨とは?

坐骨(ざこつ)は骨盤の一部で、座ったときに椅子に触れる「坐骨結節(ざこつけっせつ)」が有名です。いわゆる「座骨で座る」という表現の基になっている部分です。

坐骨は、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)や梨状筋(お尻の奥の筋肉)など、下半身の重要な筋肉の付着部となっています。


お尻の奥が痛くなる主な原因

1. 梨状筋(りじょうきん)の緊張

梨状筋は坐骨の近くを通り、股関節の安定や回旋に関わる筋肉です。
長時間の座位や運動不足で硬くなると、奥の方にズーンとした痛みを感じることがあります。

論文(Hopayian K, et al. BMC Musculoskeletal Disorders, 2010)によれば、梨状筋症候群は坐骨神経痛の原因の一つとして知られています。

2. ハムストリングスの付着部の負担

太ももの裏の筋肉であるハムストリングスは、坐骨結節に付着しています。
そのため、長時間の座位や運動で過剰に引っ張られると、坐骨周囲に違和感や痛みを感じることがあります。

スポーツ医学の研究(Lempainen L, et al. Br J Sports Med, 2009)では、ハムストリングス付着部炎が臀部痛の一因になると報告されています。

3. 坐骨神経への影響

坐骨の近くを通る「坐骨神経」が圧迫されると、お尻の奥だけでなく太ももやふくらはぎにまで痛みやしびれが広がることがあります。
これは「坐骨神経痛」と呼ばれ、神経痛の代表的な症状です。


姿勢とお尻の奥の痛み

長時間のデスクワークで前かがみ姿勢が続くと、骨盤が後傾し、坐骨と筋肉に大きな負担がかかります。
研究(Lis AM, Spine, 2007)では、長時間の座位が腰痛や臀部痛のリスクを高めることが指摘されています。

つまり、「姿勢の乱れ」が坐骨と筋肉の関係を悪化させる大きな要因なのです。


セルフチェックリスト

次の項目で3つ以上当てはまる場合、坐骨や筋肉の負担が関わっているかもしれません。

  • □ 長時間座っているとお尻の奥が痛む

  • □ 階段や坂道を上るとお尻が重く感じる

  • □ 太ももの裏に張りや違和感がある

  • □ 座るときに坐骨のゴリゴリ感を感じる

  • □ 仰向けで寝るとお尻の奥が気になる


一般的なセルフケアのヒント

※以下はあくまで一般的な情報です。症状が強い場合は必ず医療機関にご相談ください。

1. 姿勢を意識する

  • 骨盤を立てて「坐骨で座る」感覚を持つ

  • 背もたれに深く座り、前かがみを避ける

2. ストレッチで筋肉をほぐす

  • 仰向けで片足を膝の上にかけ、太ももを胸に引き寄せる(梨状筋ストレッチ)

  • 立位で前屈してハムストリングスを伸ばす

3. 生活習慣を見直す

  • 長時間座らず、1時間ごとに立ち上がって歩く

  • 運動不足を避け、軽い体操やウォーキングを習慣にする


まとめ

  • お尻の奥の痛みは、坐骨と周囲の筋肉(梨状筋・ハムストリングス)が関係していることが多い

  • 長時間の座位や姿勢の乱れが大きな原因

  • 研究でも、坐骨や筋肉の不調と臀部痛の関係が報告されている

  • セルフチェックやセルフケアで予防や軽減が期待できる

「ただの座り疲れ」と思って放置せず、体のサインとして受け止め、早めに対処することが大切です。

2025/09/25