「こめかみが締め付けられるように痛む」「頭痛がすると同時に首の付け根がガチガチになる」 このような症状に悩まされていませんか?
実は、頭痛を訴える人の多くが深刻な「首のこり」を抱えています。かつては別々の症状と考えられていたこともありましたが、最新の医学研究では、首の筋肉や神経の異常が直接的に頭痛を引き起こす**「頸性頭痛(けいせいずつう)」**の存在が注目されています。
本記事では、頭痛と首こりの知られざる関係性と、その科学的な裏付け、日常生活でできる改善策について解説します。
首と頭の間には、感覚を脳に伝える神経の「交差点」のような場所があります。
首の付け根から上部頸椎(首の骨の1番〜3番)を通る神経は、脳幹にある「三叉神経脊髄路核(さんさしんけいせきずいろかく)」という部分で、顔や頭の感覚を司る「三叉神経」と情報を共有しています。
首の筋肉(後頭下筋群など)が激しく凝り固まり、そこから持続的な痛み信号が送られ続けると、脳が**「首の痛み」を「頭の痛み」と勘違い**して処理してしまうのです。これが、首こりが原因で頭痛が起きる主要なメカニズムです。
最も一般的な頭痛で、頭の周りをベルトで締め付けられるような痛みが特徴です。首や肩の筋肉が緊張して血流が悪くなり、筋肉内に老廃物が溜まることで周囲の神経を刺激します。
首の骨(頸椎)の関節や靭帯、筋肉のトラブルから発生する頭痛です。「首の動きに合わせて痛みが強くなる」「首の特定の場所を押すと頭に響く」といった特徴があります。
首の最上部、後頭部との境目にある小さな筋肉群「後頭下筋群」は、目の動きと連動しています。 スマートフォンの長時間利用などで目を酷使すると、この筋肉が過剰に緊張します。この筋肉のすぐそばを**「大後頭神経」**が通っており、筋肉のコリが神経を圧迫することで、後頭部から頭頂部にかけて突き抜けるような痛みが生じることがあります(後頭神経痛)。
視線が下がると、頭を支えるために首の後ろの筋肉には数倍の負荷がかかります。モニターを視線の高さまで上げることで、物理的な筋緊張を軽減できます。
緊張型頭痛の場合、首の付け根を温めることで血管が拡張し、痛み物質の排出が促されます。ただし、ズキズキと拍動するような「片頭痛」の場合は温めると悪化することがあるため注意が必要です。
頭痛の中には、首こりとは無関係な命に関わるものも含まれます。以下の場合は、迷わず医療機関を受診してください。
「バットで殴られたような」突然の激痛(くも膜下出血の疑い)
高熱や首の硬直(あごが胸につかない)を伴う(髄膜炎の疑い)
手足の麻痺、言葉のもつれがある
頭痛と首こりの間には、**「三叉神経脊髄路核における神経情報の収束」**という生理学的な深い繋がりがあります。首の筋肉(特に後頭下筋群)の慢性的な緊張は、脳に頭痛として誤認させたり、神経を直接圧迫したりすることで頭痛を誘発します。頭痛薬を飲むだけでなく、首の負担を減らす姿勢改善が根本的な解決には不可欠です。
神経収束理論: Bogduk(1992, 2001)らによる解剖学的研究により、上部頸椎神経と三叉神経の入力が脊髄内で収束し、頸部由来の痛みが頭部に放散することが証明されています。
筋膜性トリガーポイント: 首の筋肉(僧帽筋や胸鎖乳突筋)に生じたトリガーポイントが、頭部の決まった部位に関連痛(頭痛)を引き起こすことが臨床的に確認されています。
専門家に確認が: 片頭痛(拍動性の痛み)や群発頭痛など、血管や脳の過敏性が原因の頭痛は、首こりのケアだけでは改善しないケースが多く、適切な薬物療法が必要です。
過度な首へのマッサージや矯正(ボキボキ鳴らす手技)は、椎骨動脈解離などの重大な事故に繋がるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。
Bogduk N. (2001). Cervicogenic headache: anatomic basis and pathophysiologic mechanisms. Current Pain and Headache Reports.
Bartsch T, Goadsby PJ. (2003). The trigeminocervical complex and sensory processing in headache.
日本頭痛学会「頭痛診療ガイドライン2022」
次の一歩として: まずは自分の頭痛が「首を動かしたときに変化するか」を確認してみてください。もし首の動きで痛みが変わるなら、原因は首にある可能性が高いです。その場合は、一度脳神経外科や頭痛外来、あるいは整形外科にて、首の骨の状態をチェックしてもらうことをお勧めします。
2026/02/26